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zoom RSS ガーシュウィンを古臭いなんて言わないでちょうだい!!! アメリカンアイドル

<<   作成日時 : 2013/05/12 15:37   >>

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アメリカンアイドル シーズン12の二度目のTOP4の課題は2013年の曲、アメリカンスタンダードという対照的な2つの課題だった。今シーズンはゲストメンターの登場が少ないが、今回はジャズスタンダード界を中心に活躍するハリー・コニャックJr.。彼の存在を初めて知ったのは、彼が音楽を手掛けたロマンティック・コメディーの古典『恋人たちの予感』だった。原題がWhen Harry met Sallyなので、司会のライアン・シークレストはこのWhen Harry met・・・というフレーズを使っていた。


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ハリー・コニャックJr.はシーズン9でもメンターとして登場している。この時の課題は辛口審査員サイモン・コーウェルが大ファンだったというフランク・シナトラだった。シナトラの遺族から遺品をいただいてサイモン・コーウェルはえらくご機嫌だったという記憶はある。この時もハリー・コニャックJr.は非常に気さくで、ユーモラスで、かつ真摯で、敬愛するシナトラの曲ということもありすべてのコンテスタントの楽曲のアレンジ、演奏まで参加していた。

ハリー・コニャックJr.は指導している時はスタンウェイのピアノだが、本番ではオルガンを自ら弾いていた。これはシーズン9で優勝したリー・デワイズのパフォーマンスの中ではベストだったと思う。声は良いのにシャイなネガティブキャラだった彼をここまで開放的にさせたのはこのシーズンでメンターで登場したアダム・ランバート、そしてハリー・コニャックJr.による指導が大きく、審査員のサイモン・コーウェルはリーのパフォーマンスを誉める前にまずハリー・コニャックJr.の協力的な態度に対して素晴らしいと感謝の念を述べた。このパフォーマンスには決してリー・デワイズが個性をどう出すかというよりも、アメリカ最大のエンターテイナー、フランク・シナトラの曲とどう向き合い、自分のものにしていく過程で、ハリーが彼に合わせたアレンジをして、彼なりの表現ができた賜物である。サイモン・コーウェルはペンキ店で働いていたシャイな君がここまで自信を持ってパフォーマンスができたのはハリーのおかげとばかりに言っている。


シーズン9のことを振りかえったのは、あまりにも今回はあまりにもハリー・コニャックJr.とアメリカンスタンダードに対する敬意が足りないと思ったからである。

アメリカンスタンダードの課題でアンジー・ミラーが歌ったのはアメリカ最大の作曲家ジョージ・ガーシュウィンが作った「Someone to watch over me」だったのだが、キース・アーバンが「スタンダードにしては古臭い」といったような発言をしていたのが勘に触った。ガーシュウィンの曲はアメリカではクラシックかもしれないが、ガーシュウィンの作曲したオペラ「ポーギーとベス」の挿入歌「Summer time」などはジャズ歌手だけでなく、ジャニス・ジョップリンもカバーしているし、アメリカンアイドルのシーズン3で優勝したファンテイジアの「Summer time」はアメリカンアイドル史上でも語り草になっている。


私が敬愛するザ・ビーチボーイズのブライアン・ウィルソンはジョージ・ガーシュウィンを敬愛し、ガーシュウィンにオマージュを捧げた「リイマジン・ガーシュウィン」というアルバムを出した。ガーシュウィンを自分なりに解釈したアルバムである。

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特にガーシュウィンの未完成の遺稿に、遺族の許可を得てブライアン・ウィルソンが完成させた「The Like In I Love You」はアメリカ最大の作曲家による究極のコラボレーションとでもいうべきロマンティックな曲である。悪いけどキース・アーバンがどう逆立ちしようが、これほど美しい至極の音楽は歌えないし、作れない。ブライアン・ウィルソンに匹敵するシンガーソングライター、スモ―キー・ロビンソンだったら作れる可能性はあるけれど。ガーシュウィン、ブライアン・ウィルソン、スモ―キー・ロビンソンは多くの人を音楽で幸せにしてきた人たちだ。


過去のコンテスタントでもシーズン6のメリンダ・ドゥーリトルはアメリカンスタンダードが課題の回でガーシュウィンの「I Got Rhythm」(フィギュアスケートで昨年浅田真央のショートプログラムで使っていた)を素晴らしく歌っていた。本人には自己顕示欲はなく、ただ音楽をどう伝えるかだけに専心していても、これを選曲ミス、古臭い、個性がないなんて誰が言えよう。


とにかくアンジー・ミラーの歌った「Someone to watch over me」はやたらとドラマティックに盛り上げすぎて安っぽくなっていた。それをキース・アーバンが「君の声が美しい」とか言っていて、思い切り鼻白んでしまった。もっとも後半の無駄な盛り上げ方に関しては要らないという意見は妥当だと思ったけれど。

本当はブライアン・ウィルソンのバージョンがロマンティックなのでUPしたかったのだが、you tubeになかったので、代わりにスティングによる素敵なヴァージョンをアップしておく。本当に良い曲を良いシンガーが歌って古臭いなんでことはありえない。



ハリー・コニャックJr.の指導として的確だったのは歌詞とメロディと向き合えということだった。アンバー・ホルコムはラスベガスラウンドで好評だった「マイ・ファニー・ヴァレンタイン」を指導されていたときに、歌詞の一字一句に対して質疑応答されていて答えられなかったのだが、逆にそこが彼女は技術があっても、彼女の歌に心が揺さぶられない要因だということが今回はっきりわかった。そしてシーズン6のメリンダ・ドゥ―リトルを聞き返すと「マイ・ファニー・ヴァレンタイン」には歌詞をちゃんと伝えようとする意志が明確にあったことがよくわかった。この曲のメローで暗く、奇妙な世界を見事に表現している。


今回のアンバーの「マイ・ファニー・ヴァレンタイン」もスタンディング・オベーションに値するものではない。頭で考えて歌っているし、こぶしを使っているところが技術過多というか技術でごまかそうとしているように思えたのだ。ただそれを個性という風に過大評価していた審査員に正直私はイラついていた。メリンダはソウルシンガーだったが、こぶしをやたらと振り回してはいなかった。むしろ曲の世界を自分がどう伝えるかを表現していた。個性というのは自己顕示欲をふりかざすのではなく、世界観を伝える方法、スタイルなのである。


ただ今回出色の出来だったのはキャンディス・グロヴァーだった。別に自分の個性をアピールしようという自己顕示欲ではなく、ハリー・コニャックJr.に言われた通り、歌詞を理解し、シンプルに曲の世界観を伝えようとして歌っていたからこそ良かったのだ。歌い出しは本当に美しく、中盤抑制を利かせているから、サビの部分もはっきり響く。むしろこぶしを多用など全然していないし、彼女は低音の発声がクリアでないアンバーと比較し、あらゆるレンジの声をコントロールしながら歌える本当に技術と表現力の高い歌手である。今回は2013年の曲という別の課題も含めてキャンディス・グロヴァーがダントツで一番だった。


今回物議をかもしだしたのはクリー・ハリソン。クリーの美しい声と表現力は玄人受けするのか、今シーズンのメンター、スモ―キー・ロビンソンもハリー・コニャックJr.が「2人ともすっかり魅了されている。それとは反比例するかのように彼女を一番擁護していたキース・アーバンやニッキー・ミナージュはここのところクリーに対して厳しい批評をしている。確かに「Stormy Weather」は難しい選曲だったが、安直に「God bless the child」をやれば良かったのか、安直にブルースをやれば良かったのかは別の問題である。

ただアンジーやアンバーと比較してクリーの出来が悪いかというと決してそうではない。クリーの声は美しい声と歌唱力は生きている。曲に対する敬意もある。これで文句をつけられるのは正直ナンセンスだなあとつくづく思う。むしろアンジーやアンバーの方は安直に盛り上げようとしていたので、ハリー・コニャックJr.がそのことを良しとしていないのは明白だったし、審査員が彼に文句を言ったことに対し、反論したくなったのも当然だろう。


アメリカンスタンダードはアメリカ音楽界、エンターテインメントが生んだ遺産である。そして御大トニー・ベネットなどはいまだに根強い人気を博しているし、マイケル・ブーブレなどこのジャンルを歌える歌手も人気がある。ジョシュ・グローバンのような歌そのものを聴かせるアーティストのアルバムも売れている(デヴィン・ヴェレズくんの目指す道はここだ!)。メロディや歌詞を軽視して、個性を出せというのは下手な自己顕示欲の肯定にほかならない。その一番の具体例が今回のアンジーのパフォーマンスだった。個性というのはメロディや歌詞を伝える中で自然と表れる表現者のスタイルなのである。今回初めてこの番組終わった方が良いんじゃないと思ってしまった。私は音楽そのものに対して敬意がない行為が一番腹が立つからだ。ハリー・コニャックJr.もさぞかし呆れたことだろう。本当に彼が頭の回転が速く、ユーモアを解する人で良かった。そうでなければ番組が崩壊していたことであろう。

ちなみに観客席にいたハリー・コニャックJr.の隣に座っていたのは「アメリカンダンスアイドル」(原題So you think you can dance)の名物審査員で社交ダンスの女王メアリー・マーフィー。本国より2年遅れて日本でもシーズン8がD
lifeで5月17日に放送され、メアリー・マーフィーも審査員として戻ってくるので楽しみである。
http://www.dlife.jp/lineup/variety/youcandance_s8/

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プラダ トート
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プラダ トート
2013/07/07 04:44

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コメント(7件)

内 容 ニックネーム/日時
私もキースが「古臭いにもほどがある」と発言した時に「なに、この人?!」とイラっとしたんですよ。私も日本人ですから偉そうなこと言えませんが、ジャズやスタンダードが大好きなので、ちょっと許せないコメントでした。まぁ、彼は冗談として言ったのだろうけれど・・・

ステイングはジャズやスタンダードに造詣が深いから、他にも素敵なパフォーマンス多いですよね。私は彼の歌ったマイファニーが大好きです。

今回メンターのハリーが「言葉の意味が大事」と繰り返し伝えていたのが印象的でした。今までアンバーの歌にどうしても共感できなくて、ジャッジ絶賛なのにどうして好きになれないのか自分でも不思議でしたが、彼女は歌詞の内容を理解してなかったのかと、ようやく納得しました。今回のマイファニーもやたらと拳まわしたり歌いあげたりするパートが多くてゲンナリしながら聴いていましたが、まさかのジャッジ・スタンディング。今シーズンのジャッジはStanding ovation多すぎて有難味ないです。正直あそこまでいくと「この人たち、音楽業界にいながら感性がおかしいのでは」と思ってしまう。

キャンディスは囁くように歌い出して、この歌の世界を体現するようで素晴らしかったのですが、途中からいきなりいつものように歌いあげ始めたので「あれれ?」と不安に。でも最後ではまた囁くように収めたのでホッとしました。あのままあの声量で歌いあげられたら私はイヤだったので。

アンジーは、お母さんが子守唄のように歌ってくれた思い出深いガーシュウィンだったのだから、余計な盛り上げはせずに歌えばよかったのになぁと思います。ただ今シーズンは「余計な盛り上げ」をしないと、ジャッジから酷評受けたりする可能性もあり(退屈とか言われて)彼女的には頑張ってしまったのかも。

長くなったので、クリーのことは別にコメントさせてください。
えり
2013/05/12 18:14
クリーはまたさらに難しい選曲でしたね。どうしてああマニアックな曲ばかり選ぶのかなぁ。やはりそろそろコンペが窮屈になって来て、もう降りたいと思ってるのかな。今回ハリーがランディとやり合いましたが、そのおかげでクリーへのマイナスイメージが少し緩和された気がします。Stormy Weatherはハリーのアドバイスではシンプルに歌うってことだったのに、やっぱり途中から声を張り上げてたのが残念ですが、アンバーやアンジーに比べればよい出来だったと思います。

See you again ではキースが「これはもっと壮大な曲なのに動きが少なくてピンと来なかった」とコメントしてましたが、私はクリーがこの曲を亡くなったご両親を思いながら歌ってるなと感じたので、むしろキースの感想に違和感を覚えました。彼らはよく「観客ともっと繋がらなきゃダメ」と言いますが、観てる方はそれぞれだから、オーバーアクションしなくても伝わるものもあると思うんです。

なんだか今回はジャッジが案外不勉強なんだということが解って、ガッカリでした。偉そうに言いたくないけど、テーマにスタンダードを取り上げるくらいなら、ジャッジももう少し勉強するべきですよね。視聴者に間違った知識を与えてしまうし。

来シーズンからランディ降板で、ジャッジ一掃らしいですね。後釜にハリー・コニックjr.が請われているという噂も聴きましたが、彼はアメアイには勿体ないと思います。たまにメンターで来てくれるだけで充分です。今年はメンター少なかったですが、スモーキーといいハリーといい、良質な二人だったのが幸いでした。

長々と失礼しました。
えり
2013/05/12 18:20
えりさん、コメントありがとうございます。
メンターのハリー・コニャックJr.は素敵でした。

キース・アーバンは地方予選の時にコンテスタントが音楽の志向がカントリーではなく、カントリーっぽいもの「country thing」と言った時に少しムっとしていて、ニッキーに「君だってHip Hop thingとか言われたら不満だろ?」って言っていたことがあったので、今回の彼のこの曲は古臭い発言にはどうも違和感がありました。あとクリーに対するコメントにも。

あと番組全体の雰囲気として審査員やジミーも含めて、アンジー優勝、アンバーを生き残らせようという空気があって、どうもそれがクリーへの厳しい評価につながっている気がして、見ていてどうも居心地の悪さを感じました。
miporing
2013/05/12 22:06
こんにちは。
私はスタンダードどころか音楽のことには詳しくないですが、
それでもハリーの言いたいことはよくわかりましたし、賛同しました。
前からアメリカンアイドルのコンスタントたちはメロディーのアレンジが過ぎると思ってたんです。
gleeでも揶揄されてたし、そう思ってる人は多いはずなのに、やっぱりLIVEの雰囲気だとテクニックで誤魔化すほうがウケるのでしょうか。
アンバーは綺麗ですがもう少し早く落ちてても良かった気がしました。
ものび
2013/05/13 23:19
ものびさん、コメントありがとうございます。

ハリーだけでなく、グウェン・ステファニも以前メンターで来た時に下手にアレンジするより、まずはオリジナルに忠実に歌う方が良いと発言していたのですが、それはカラオケのように歌うのではなく、曲と真剣に向き合って歌うことで自ずと自分のオリジナルの発信の仕方になってくるものだからでしょう。またダイアナ・ロスも歌詞の大切さを訴えることを指導していました。結局今シーズンの男性陣がダメだったのは基本である歌詞すら覚えられないコンテスタントが多かったからでしょう。

ハリー・コニャックJr.は本当に素敵でしたが、スモ―キー・ロビンソンは曲の本質を伝えながらコンテスタントの個性をも引き出していて本当にすごかったなあとつくづく思いました。あの回が今シーズン私にとって一番幸せな瞬間でした。
miporing
2013/05/14 00:13
突然訪問します失礼しました。あなたのブログはとてもすばらしいです、本当に感心しました! フェラガモ 靴 http://ferragamo.nukenin.jp/
フェラガモ 靴
2013/07/22 02:28
フェラガモ靴様 コメントありがとうございます。
この記事はキース・アーバンのファンの方には不評だったようですけど。
miporing
2013/07/28 22:25

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