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zoom RSS なぜ人はマドンナに憧れるのだろう―GLEE「The Power of Madonna」

<<   作成日時 : 2010/06/16 02:50   >>

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この世には色んなポップスターや歌手がいる。フランク・シナトラのように歌声と存在感で人を魅きつける。ジョン・レノンのように音楽性だけでなく思想などに共感する人もいるだろう。マイケル・ジャクソンは歌、ダンス、存在感といい、大人から子供まで世代を超えて人を魅きつけるものがある。それはもう天性のものだから誰もフランク・シナトラやジョン・レノン、マイケル・ジャクソンになりたいとは思わないだろう。

しかしマドンナというスターは音楽的に特別に才能があったというわけではない。特別に歌が上手いわけではない。声域はむしろ狭いといって良いだろう。ダンサーとしても特別な才能があったわけではない。まして164センチとアメリカ人にしては小柄でグラマーかもしれないが、スタイルが良いわけではない。類まれな美人という訳でもない。しかしスターになりたいというモチベーションの強さと実行力、ストイックなまでの自己コントロール、セルフ・プロデュース能力においては誰よりも長けていたのだと思う。

マドンナの神話で本当か嘘かわからないが、35セントを手にしてデトロイトからニューヨークに行ったという逸話がある意味アメリカンドリームの体現者として人を魅きつけるのだと思う。努力をして、強くなれば夢が叶うと多くの人を勇気づける存在として。

初めはニューヨークのダンスシーンから登場したマドンナだが、彼女は当時始まったばかりのMTVというメディアを利用し、セクシーな要素を存分にアピールした。2ndアルバムの「ライク・ア・ヴァージン」は当時売れっ子だったナイル・ロジャースがプロデュースしたが、このアルバムではダンス・クイーンからポップスターへとランクアップを果たし、大ヒットを記録してスターの座を築いた。3rdアルバム「True Blue」はモータウンサウンドに影響を受けたキャッチーなサウンドでセックスシンボルとしてではなく、幅広い層にアピールできるポップスに変化させていった。

マドンナは流行に対して敏感で、人を起用するのも上手かったと思う。PVの監督にデヴィッド・フィンチャーやジャン・バプティスト・モンディーノ(「Open your heart」は彼の初めてのカラー作品だ)を起用したり、「True Blue」のジャケットを撮ったのはハーブ・リッツである。

「Like a prayer」は色々波紋を呼んだが、その後で「VOGUE」という当時ニューヨークのゲイシーンで人気のあったダンススタイルを上手く取り入れたスタイルはインパクトがあったし、戦略として見事だった。

本来なら映画の世界でも成功したかったと思うのだが、残念ながら大成功には至っていない。しかしマドンナは欲しいものは大抵手に入れてきた。ただマドンナ自身のパワーが強すぎて、結婚する男性は大抵キャリアを迷走する。今やアカデミー主演男優賞を2度受賞して名優の名を欲しいままにしているショーン・ペンはマドンナと結婚していた時にヒット作に恵まれず、つきまとうパパラッチに暴力し、日本では「マドンナの暴力亭主」として知られていた。彼の不遇の時期の作品には『ロンリー・ブラッド』という捨てがたい作品もあるが、ようやくヒットしたのはデニス・ホッパー監督作の『カラーズ』だったと思う。また『ロック、ストック&スモーキング・バレルズ』で注目を浴びたガイ・リッチーもマドンナと結婚して『スウェプト・アウェイ』(リナ・ウェルトミューラーの『流されて』のリメイク)で評判を落としたが、離婚後は『シャーロックホームズ』でとりあえずヒットを飛ばした。

マドンナのキャリアを色々分析してみたのは、GLEEの第1シーズン第2部の2回目が「The power of Madonna」というマドンナへのオマージュを捧げた内容になっていたからだ。これはエグゼクティブ・プロデューサーのライアン・マーフィとマドンナの信頼関係から成立した企画で、ライアン・マーフィ自身が脚本・監督をしている。正直音楽もドラマの要素も色々詰め込み過ぎたきらいはあるが、マドンナという存在を通して男と女の見解の相違と相互理解への努力を描いていた。


Glee: The Music - The Power of Madonna
Sony
2010-06-08

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そして今回はドラマの敵役のような存在のチア部の鬼顧問スー・シルベスター先生の知られざる一面というのも見せているし、ゲイのカートと黒人のメルセデスの賢さと優しさも見せている。

あとアメリカというのは性に対して早熟なのかと思ったのだが、この作品はオハイオ州が舞台なので男の子も女の子も初めてのセックスをしたいという気持ちと恐れを描いているのも興味深かった。

マドンナの曲の中で全体で歌うのはゴスペルコーラスを取り入れていた「Like a prayer」でさもありなんと思ったのだが、個人的には初期の曲で好きだった「ボーダーライン」と「オープン・ユア・ハート」のマッシュアップのシーンが廊下にマドンナの過去のプロモーションビデオへのオマージュが感じられる遊びの要素があったのと、レイチェルとフィンのデュエットがとても心地よく感じた。

Borderline / Open Your Heart - Glee Version
(音にノイズが入っている)


どうも第2部にジェシーが登場してからのレイチェルをめぐる三角関係がドラマを盛り上げるために仕掛けた装置としてあざとくて私はあまり好ましく思っていないのだが、図書館で2人が密会するシーンでブロードウェイ・ミュージカルの巨匠スティーブン・ソンドハイムに関する書籍をジェシーが落としてレイチェルに気づかせるシーンにも遊びがあった。ジェシー役のジョナサン・グロフはブロードウェイ出身のスターなので、さすがに歌が上手い。レイチェル役のリア・ミッシェルとは舞台「Spring Awakening」で共演していて、リア・ミッシェルをライアン・マーフィに紹介したのは彼だが、ちなみにジョナサン・グロフ自身はゲイである。

さて私自身マドンナに対してどう思っているかと言えば、若いうちからベジタリアンで酒・煙草は無縁でトレーニングを怠らず、自己管理をしていることに対してはすごいと思うし、ずっと一線にいることに対して敬意を表するが、私はバランスの悪い、繊細で弱さも持ち合わせている天才ミュージシャンやアーティストの方が好きである。

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