人はなぜ高台に家に住むのだろう

先日三井ヤスシさんの個展に来てくれた友人からデザイナーの売り出し方について相談に乗ってくれと頼まれた。私で役に立つかはわからないが、とりあえず友人の新居に打ち合わせに行くことにした。友人は携帯で家までの道順を教えてくれたが、彼女がいつもわかりやすい道順の家に住むのか、彼女の説明が上手いのかわからないが、長い坂道を上るもののちゃんと辿りついた。横浜は丘の上に家があることが多い。

先日母と成城に行った時にも思ったことだが、人はなぜ丘の上か高台に家を建てたがるのだろう。成城というのも高台にあり、急な坂を上らなければいけない。

私はマンガを千歳烏山まで自転車で売りに行ったりするのだが、重い古本を荷台に乗せながらまず隣駅のつつじヶ丘へ行くのに坂を上り、さらに仙川へは急勾配の坂を上り、そしてさらに少し上って千歳烏山へ行く。世田谷まではいわゆる山の手という地域であるが、確かにその名の通り丘の上にあるとつくづく思った。

丘の上の家というとGWに成城に行ったせいか黒澤明の『天国と地獄』を思い出した。この映画は底辺に住んでいる若い青年が高台の豪邸に住む実業家をうらやんで息子を誘拐しようとする。実際に誘拐したのは息子の遊び相手だった家政婦の息子だった。しかし本人でない人間を間違って誘拐しても身代金の請求をするというのが黒澤明がエド・マクベインから頂いた部分で後はオリジナルの展開。新幹線を使った身代金の受け渡しやモノクロの映像の中に手がかりだけピンクに着色するなど様々なテクニックが使われている。後者の技法はスピルバーグが『シンドラーのリスト』の少女が持った風船に使っている。


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この映画は第一級のサスペンス映画ではあるが、テクニックに偏りすぎて人間ドラマが希薄になってしまったきらいはある。ただ高台の家と底辺のアパートというシチュエーションが主役だったといえなくもない。非常にヒエラルキーがわかりやすい構図ではあるけれど。

さて高台にある友人の家は非常にきれいに暮らしていた。友人とデザイナーとクリエイティブの戦略を話し合ったのだが、基本的にアートやクリエイターのプロデュースやマネジメントは向いているかもしれないと思えてきた。

私たちが打ち合わせしていると友人の小学生のお嬢さんが帰ってきた。彼女はなかなか鋭い部分を持っていて友人は「こまっしゃくれたところが私に似てムカつくんだよね」と笑っていた。

打ち合わせをしていた私たちの横でお嬢さんがいきなり「この中で誰が話し合いのリーダーなの?」と質問されて思わず苦笑いをしてしまった。今どきの子供は何かをするときにいちいち誰がリーダーかを決めるように教えられるらしい。

途中でお嬢さんがDVDを観始めたのだが、他のDVDはともかくとして嵐のライブDVDがかかったら映像の方が気になって打ち合わせどころではなくなった。特に宙吊りパフォーマンスは圧巻で、打ち合わせがほぼ終わりかけていたから良かったものの、嵐が人気あるのがわかるような気がした。

しかし打ち合わせをしてみてつくづく思ったのは、やはり三井ヤスシさんは才能のある方だということだ。キービジュアルとなるものを描いてほしいという提案に対してこちらが考えていたものより優れたものを出してきて頂いた。三井さんのイラストが気に入って友人は先日の個展のDMをもらって部屋に飾っているらしいが、デザイナーさんの参考用に持っていったら、友人のお嬢さんが「うちの部屋にあるのと同じだ」と言っていたらしい。6歳の子供の記憶力もさることながら、子供の記憶に残るビジュアルインパクトはつくづく大事だと思った。

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