東京命日

去年の12月12日も東京命日というタイトルでブログを書いた。

島田虎之介さんのマンガ「東京命日」は12月12日の小津安二郎の命日に始まり、12月12日の小津安二郎の命日で終わるが、その間に様々な人物が登場し、錯綜していく。だから今年もまた東京命日というタイトルで日記を書いて良いような気がした。


東京命日
青林工芸舎
島田 虎之介

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小津安二郎の誕生日が元々12月12日で、しかも60歳という12の倍数の誕生日に亡くなったというのが完璧主義の小津らしい。

他に12月12日に亡くなった著名人としては「東京命日」の天才CMディレクター逗子芯太のモデルとなった杉山登志がいる。杉山登志が手がけたCMはYou Tubeなどでも視聴できるが、今観ても新鮮で色褪せない。特に図書館のCMは本当に素晴らしい。

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「東京命日」の中の逗子芯太はあらかじめ亡くなっている存在である。小林くんという駆け出しのCMクリエイターはことあるごとに逗子芯太に似ていると言われる。そのことから小林くんは逗子芯太の作品に興味を持つのだが、あらかじめ失われた存在としての逗子芯太が安土や先輩の青沼の中に亡霊のように存在しており、小林くんはプライベートで命日に関するドキュメンタリーを撮っている。

この作品には様々な人の死が描かれる。てっちんという編集マンの死。ピアノの調律師ナツコの姉の死、姉の恋人だった男の死、安土四十六の父の死(寺山修司の引用が素晴らしい)、そしてストリッパーの薮ケイトのストーカーの死、あるいは逗子芯太の死。様々な死と物語は登場人物に様々な影響を与えるけれど、登場人物たちは様々な死を内在しつつ乗り越えて生きていく。このマンガを読んでいると人生や歴史というのはその連なりであるように思える。

12月12日には音楽批評家・間章の命日でもある。7年前の今日新潟で間章のゆかりのミュージシャンを集めたライブを行った。参加したのは豊住芳三郎、近藤等則、土取利行…本当はそこに高木元輝さんが加わる予定だったが、ライブ前日に亡くなられて、そのライブは色んな意味で弔いのライブとなった。


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私たちは間章に関するドキュメンタリーを撮っていたのだが、その後、間章氏のご母堂の百合さん、音楽批評家・清水俊彦先生、そして先日この映画で様々な方へのインタビューを行った大里俊晴さんが亡くなられた。この映画もあらかじめ亡くなっている音楽批評家についてのインタビューということで始まったのだが、やがてインタビュイーのそれぞれの音楽の受容の仕方、音楽への姿勢に飛躍し、増殖して膨大なドキュメンタリーになっていった。大里俊晴さんは若い頃ガセネタというバンドで活動していたが、その時に間章と出会ったことが大里さんをより一層間章フリークに駆り立てていったという側面を考えると『AA 音楽批評家・間章』という作品もまたもう一つの「東京命日」であるような気がする。ただ大里さんが亡くなったことで『AA』は作品の完成とは別の、ある種の結末を迎えたような気がする。

今日下北沢のディスクユニオンで高柳昌行、高木元輝、吉沢元治、灰野敬二など間章と関わりのあったミュージシャンのCDが並んでいるのを見ながらぼんやりとそんなことを考えた。毎年12月12日になると今は亡くなった様々な人の思い出が去来する。

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