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ジョージ朝倉のマンガにはいつも沸点ギリギリに飽和した感情を押さえ切れない女の子が登場する。 青年誌での初連載となった「平凡ポンチ」は映画と巨乳にとりつかれたヘタレ映画青年の成れの果ての男アキと貧乳の自称女子高生ミカの話。 アキがそもそもミカを主演女優に商業映画を撮るという嘘から始まる映画作りは嘘に嘘が上乗せされる度に愛という名の混沌に陥っていく。傑作であるかは重要ではなく、大事なのは映画であるかなのである。 触れ幅の極めて広いこの原作を私は映像化したかったし、原作権の交渉や佐吉さんへの打診も行った。 私がイメージしていたのは多分にジェットコースター的な展開が早く、そしてフィルムノワールの要素の強いものだったと思う。だからハッピーエンドにはならなかったと思う。 だから実際に映像化された「平凡ポンチ」を佐藤佐吉さんがどのように料理するか楽しみにしていた。キャスティングもイメージに近かったが、原作に忠実に、そして映画への愛を不器用なほど繊細に描いていた。ヒロインの秋山莉菜の体当たりの演技もさることながら、ヒロインの扱いに途方に暮れる佐藤佐吉さん扮するアキのヘタレぶりもハマっていた。特に劇中のカメラを佐藤佐吉さん自身が撮ったのも説得力があった。あの不器用なカメラはアキの分身である。 ジョージ朝倉のマンガには瞬間の光といったものが描けるが、ブランコの描写や木漏れ日といった繊細な描写が映画の随所にあふれている。そしてラストもあれで良かったと思う。 何はともあれ事情があって私が途中で離れなければいけなくなった企画が形になって良かったと思う。私は母にも妻にもなったことはないが、映像ビジネスにおいて事情が何であれ自分が棄てた子供(映画企画)の行く末を案じる気分で映画を観るのを2度体験している。嫌な体験だが、忘れてはいけない。いつか映画に関してはリベンジをしなければいけないと思っている。 |
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